監査業務の1年








監査業務の1年





監査スケジュール
7月頃 監査計画・キックオフミーティング
7月中旬~8月上旬 第1四半期レビュー
8月中旬 夏休み
8月下旬~ 期中監査
9月頃 経営者とのディスカッション
10月中旬~11月上旬 第2四半期レビュー
11月中旬~12月下旬 期中監査
1月中旬~2月上旬 第3四半期レビュー
2月下旬~ 期中監査
期末日付近 実査・棚卸立会
4月中旬~5月上旬 期末監査
5月中旬 監査役会への報告会
5月下旬~6月上旬 有報チェック
6月下旬 定時株主総会



監査計画・キックオフミーティング

3月決算の会社の場合、6月後半くらいから7月に新年度の監査契約を結び、監査のスタートは7月になります。まずは、監査責任者と主査を中心に、監査計画を立てるところから始めます。監査計画を立てるにあたっては、監査チームでキックオフミーティングを実施して、クライアントの経営環境や事業内容の変化、リスクが高まっている領域などについて話し合います。構成単位の監査人に対しては、当期の監査計画に基づいて作成した指示書を送って、子会社に対する必要な監査手続やグループ監査チームに報告すべき内容、報告期限などを指示します。




四半期レビュー

3月決算の会社は第1四半期が6月末に終了し、四半期決算の処理が7月半ばに終了しますので、その後の7月中旬から8月上旬までクライアントに行って第1四半期レビューを行います。同様に、第2四半期レビューは10月中旬~11月上旬頃、第3四半期レビューは1月中旬~2月上旬頃に行います。




期中監査

期末監査と各四半期レビューの間の期間において、期中監査を行います。期中監査では、普段の本社往査だけではわかりにくい現場の実態を理解するため、重要な子会社、工場、支店や営業所を訪れ、各種帳票の閲覧や現場視察等を行います。また、会計監査は、会社の内部統制が適切に構築、運用されていることを前提としているため、本社や重要な子会社、工場、支店、営業所における内部統制の検証を行います。内部統制報告書に係る監査、いわゆるJ-SOX監査の手続も、期中監査及び有価証券報告書提出までの往査時に実施します。




経営者とのディスカッション

経営者とのディスカッションには、監査責任者と主査が出席することが一般的です。




実査・棚卸立会

決算期末日又はその翌日(翌営業日)に、実査及び棚卸立会を行います。実査では、資産の実在性を確かめるため、監査チームのメンバーが実際にクライアントの本社や重要な子会社、支店、営業所を訪れ、実際に現金や有価証券、受取手形等の現物の数を数えて、帳簿残高との一致を確認します。棚卸資産(商品・製品・原材料・仕掛品など)を保有する会社では、実地棚卸を行い、事業年度末に倉庫などに保管されている棚卸資産の数量を数え、帳簿記録との一致を確認しています。棚卸立会では、監査チームのメンバーがクライアントが行う実地棚卸の現場に同席し、その実施状況を観察するとともに、一部について自らテストカウントすることによって、在庫数量の妥当性を確かめます。棚卸立会は、決算期末日又はその翌日(翌営業日)に行われるのが通常ですが、重要な拠点が複数ある場合などには、複数回に分けて行うことがあります。




期末監査

1年間の事業活動の集大成として、クライアントが作成した決算書について、決算期末日現在の資産及び負債の残高、収益及び費用の計上額が適正かどうかを確かめるため、期末監査の手続(実査、立会、確認、質問、閲覧、査閲、証憑突合、帳簿突合、再実施、分析的手続等)を実施します。なお、期中の取引については、四半期レビューや期中監査において検討済みのため、適宜、その結果を利用することができます。3月決算の会社の場合、6月下旬の定時株主総会の招集通知の発送までに、計算書類が適正に作成されているかどうかの検討も合わせて行います。また、監査役等には、会計監査の方法や結果の相当性に対する責任があるため、監査役等に監査結果や実施した監査手続等の説明、報告を行います。なお、監査役等への報告は、コミュニケーションの一環として、四半期レビューの都度、行われることもあります。




監査役会への報告会

期末監査の結果や実施した監査手続、リスクが高いと考えられるため重点的に監査を実施した領域などについて、監査役会に説明し、監査報告書を提出します。なお、期末監査後だけでなく、四半期レビューが終了した都度、報告会を開催して監査役会に説明することもあります。また、もし監査の過程で違法行為などの重大な問題を発見した場合には、定例の報告会に限らず、速やかに監査役会に報告しなくてはいけません。




有価証券報告書 表示検討

上場会社は、期末決算日後3ヶ月以内に有価証券報告書を作成し、提出しなければなりません。有価証券報告書の記載事項は多岐に渡り、決算期末日後、クライアントが有価証券報告書を作成するまでに時間を要するため、期末監査の往査後に改めてクライアントを訪問し、財務諸表をはじめ有価証券報告書が適正に作成されているかどうかの検討を行います。期中監査では実施できなかった、内部統制報告書に係る監査に対応する残りの手続も、この時期に合わせて行います。




株主総会

3月決算の会社では、定時株主総会は一般的に6月後半に開催されることが多く、株主に対して計算書類の報告などを行います。その際、株主から計算書類に関してクライアントが予想していない質問が出る場合に備えて、クライアントからの要望により、監査責任者もしくは主査が控えていることもあります。